計測できない問題は解決できない
計測できない問題は解決できない
「反応が悪い」は課題ではない——
Webの相談をいただくとき、最初にお伺いすることはだいたい似通っています。
「広告の反応が悪くて」
「サイトからの問い合わせが少なくて」
「なんとなく、うまくいっていない気がする」
どれもよくわかります。実際、その通りなのだと思います。
ただ、これらは課題ではありません。
あくまで結果としての症状です。このままでは、打つ手を選ぶことができません。
「なんとなく悪い」の裏には、計測可能で、数値に分解できる原因があります。
そもそもサイトに人が来ていないのでは?
人は来ているが、開いた瞬間に離脱しているのでは?
途中まで読まれているが、問い合わせフォームまで進んでいないのでは?
フォームまで進んでいるが、入力の途中で離脱していないか?
問い合わせではなく電話で来ているが、それを拾えない計測設計?
結果は同じでも、原因は驚くほどにみなさま異なります。
そして厄介なのは、原因によって打つ手が変わることです。
サイトの離脱率が高いとき、とりあえず広告を出すとどうなるか。
間違いではないでしょうが、穴の開いたバケツに水を注ぐように、お金がどんどん溶けていくだけになります。
つまり漠然としたまま「なんとかしたい」と動き出すと、当たるかどうかが運任せになります。
家計の改善を図るとき、最も費用の大きい固定費から手を付けるような感覚に近いかもしれません。
具体的な数値で言えて、はじめて課題になる。
明確にしない課題は、解消できません。
「サイトの反応が悪い」は、何をどう直せばいいのかわかりません。ですが、
「サイトの平均滞在時間が15秒で、訪問者の8割がファーストビューから下にスクロールせずに離脱している」
こう言えたなら、打ち手は自動的に絞られます。
ファーストビューで何を伝えるか、という一点の勝負になる。広告の話ですらなくなります。
課題を数値で言えるようになった瞬間、選択肢は爆発的に減り、リソースを割くべきところ(戦略)が明確になります。
これが計測の本当の価値です。
データを眺めて満足するためではなく、やるべきことを一つに絞り込むために計測します。
では、最低限どこを見ればいいのか。業種によりますが、多くの中小事業者にとってはこのあたりが出発点になります。
なぜ、ここが飛ばされるのか
これだけ重要なのに、中小事業者では計測はたいてい後回しにされることが多いです。理由はシンプルで、それ自体は売上を生まないからです。
計測を整えても、来月の問い合わせが増えるわけではありません。
管理画面が少し賑やかになるだけです。
それより広告を回したい、サイトを新しくしたい——気持ちとしては、まったく自然だと思います。
ですが、計測を飛ばした施策には、共通する問題があります。当たっても外れても、理由がわからない。
うまくいったとして、何が効いたのかがわからなければ、もう一度同じことはできません。
うまくいかなかったとして、どこで落ちたのかがわからなければ、次に何を変えればいいのかもわかりません。
つまり、計測のない施策は、一回の結果が次に活きません。
当たれば嬉しい、外れれば残念、で終わる。それを何度繰り返しても、手元には何も残らない。
限られた予算で戦う事業者にとって、これがいちばん高くつきます。
大きな会社は試行回数で押し切れますが、中小事業者にその余裕はありません。
一回一回の施策が、次の判断材料になっていく——そういう積み上がり方をして、はじめて予算の差を埋められます。
私たちがご相談をいただいたとき、最初にやるのはたいてい「計測を整えること」です。
広告を増やす提案でも、サイトを作り直す提案でもありません。
正直に言えば、これは提案として地味です。その場で売上が立つわけでもない。
それでも最初にここを飛ばすと、その後にやることすべての精度が落ちるので、最優先で整備します。
工夫が、きちんと売上に変わる。
そのために必要なのは、たくさん試すことではなく、試した結果がちゃんと読める状態を先に作ることだと考えています。
もし今、「なんとなくうまくいっていない」という感覚だけがあって、
それを数字で説明できない状態なら——次の施策を考える前に、まず自社の課題が数値で言えるかどうかを確かめてみてください。