株式会社ドットヴィンチ

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「成功事例」はそのまま真似しても再現しない

「この会社は、この施策で売上が伸びたらしい」——

Webの世界には、たくさんの成功事例があります。

広告を変えたら問い合わせが増えた。

サイトを作り直したら売上が伸びた。

SNSを始めたら、新しい顧客層に届くようになった。

どれも参考になる話です。

しかし、同じ施策をそのまま自社で実行しても、同じ結果になるとは限りません。

むしろ、成功事例だけを見て施策を選ぶと、思ったような成果が出ないことの方が多いかもしれません。

成功事例には表に出ない前提がある

同じ広告を出し、同じようなサイトを作れば、同じように売れる。

そう考えたくなりますが、企業によって置かれている条件は異なります。

知名度はどの程度あるのか。

商品はいくらなのか。

利益率はどの程度なのか。

顧客が購入を決めるまでに、どのくらいの時間がかかるのか。

問い合わせを受けた後、どのような営業をしているのか。

こうした条件が違えば、同じ施策でも結果は変わります。

例えば、知名度のある会社が商品名だけを大きく見せる広告を出して成功したとしても、まだ知られていない会社が同じ広告を出せば、「これは何の会社だろう」で終わるかもしれません。

営業担当者が十分にいる会社なら、問い合わせを一気に増やすことが成果につながります。

一方で、少人数の会社が対応できないほど問い合わせを集めれば、返信が遅れ、かえって受注率を下げる可能性もあります。

成功した施策だけを取り出しても、その背景にある条件までは簡単に真似できません。

成功はアート、失敗はサイエンス

成功には、タイミングや市場環境、担当者の判断、顧客との相性など、さまざまな要素が重なっています。

条件を似せることはできても、成功を完全に再現することはできません。

成功は、アートに近いものだと思います。

一方で、失敗には比較的はっきりとした再現性があります。

計測をしないまま広告を始める。

誰に売るのかを決めずにサイトを作る。

問い合わせ件数だけを見て、成約や利益を確認しない。

顧客が知りたいことではなく、自社が言いたいことだけを並べる。

一度施策を実行しただけで、統計的に誤った範囲で良し悪しを判断する。

こうした進め方をすれば、かなり高い確率でうまくいきません。

どの道を通れば必ず目的地に着けるかはわからなくても、失敗につながる道を避けることはできます。

成功を完全に再現することは難しい。しかし、過去に繰り返されてきた失敗を避けることはできます。

失敗は、再現性の高い科学に近いものです。

失敗の轍をどれだけ知っているか

Webの業界には、Webの業界で繰り返されてきた失敗があります。

広告媒体の数字だけを見て判断する。

アクセス数を増やすこと自体が目的になる。安いトラフィックを獲得する。

サイトを公開したところで仕事が終わる。

新しいツールを導入すれば、今ある問題が自動的に解決すると考える。

その一方で、それぞれの業界にも、その業界特有の失敗があります。

商圏が限られる事業で、遠方のユーザーにまで広告を出してしまう。

予約を受けられる数が決まっているのに、繁忙期にも同じ予算で集客する。

利益率の低い商品ばかりが売れるキャンペーンを行い、売上は増えたのに利益が減る。

Webの知識だけでも足りません。

業界の知識だけでも足りません。

両方を照らし合わせながら、「この事業の場合、どこで失敗しやすいか」を考える必要があります。

最初から正解を当てなくてもいい

Web施策では、最初から唯一の正解を当てようとしがちです。

どの広告を出せば成功するのか。

どんなサイトなら売れるのか。

どのSNSを使えば伸びるのか。

もちろん、問いを持ち、仮説を立て、実証してくことは必要です。

ただし、どれほど経験がある人でも、実行する前から100%の成功を約束することはできません。
大きなテーマパークであっても酷評されてしまうことがあるように。

特に中小企業において(資金に限りのある場合において)重要なのは、一発で正解を言い当てることではありません。
すでに失敗するとわかっている選択肢を外し、残った可能性の中から、費用対効果の高い順に試すことです。

失敗する道を一つずつ除けば、進むべき方向は自然に絞られていきます。

そして、施策の結果をきちんと計測できれば、その会社にとっての成功条件が少しずつ見えるようになります。

中小企業ほど失敗を避ける価値が大きい

調達などで大きなBSを持つ会社であれば、複数の施策を同時に試し、失敗を予算と試行回数で吸収できることがあります。

中小企業では、そうはいきません。

一回のサイト制作。

一回の広告出稿。

一人の担当者が使う数か月。

一つひとつの施策が、会社にとって小さくない投資になります。

だからこそ、華やかな成功事例を探すことと同じくらい、過去にどのような失敗があり、なぜ失敗したのかを知ることが重要です。

私たちも、「この方法なら必ず成功します」とご提案することはできません。

投資に、100%の成功を保証できる方法はないからです。

ただ、Webの現場で繰り返されてきた失敗や、それぞれの企業、業界で起こりやすい失敗を踏まえて、「少なくとも、そちらの道は通らない方がいい」とお伝えすることはできます。

それは些細な助言に見えるかもしれません。しかし、使える予算や人員が限られている会社ほど、一つの失敗を避けることには大きな価値があります。

成功事例を真似する前に、まず、その成功が成り立った条件を確認する。

そして、自社が踏みそうな失敗の轍を知る。

成功への最短距離は、誰かの成功をそのまま追いかけることではありません。

進んではいけない道を知り、自社に合った道を一つずつ探していくことだと考えています。

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